深刻化する「子供のメタボ」

子供に広がっている「小児メタボリック症候群」が、問題になっています。肥満の子どもの増加は30年前と比べて約2倍になっており、減少する兆しすらない状況です。

平成26年度の「肥満傾向児(標準体重を20%以上、上回っている児童)」の割合は、3年前からほぼ横ばいの水準にはあるものの、特に男子は10歳で9.72%・11歳で10.28%・12歳で10.72%と、「10~12歳の男の子の、およそ10人に1人が肥満」という結果になっているのです(文部科学省 肥満傾向児の出現率)。

小児メタボリック症候群の主な原因は大人同様、以下と言われます。

幼少期から肥満やメタボリック症候群に陥った場合、そのおよそ7割が大人になってもその症状を引きずり、また成人後に動脈硬化や糖尿病が早く進行する危険も高まるといわれます。

厚生労働省が設定した子供のメタボ診断基準

幼少期においてさえ、肥満がひどい場合には、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を合併する危険性もあるため、事態は深刻といえます。

自分の子供が肥満気味だと感じる人は、早めに検査等を受診し、メタボリック症候群の予防のための対策を講じることが大切です。

厚生労働省においても、6歳から15歳の幅で「小児メタボリック症候群」の診断基準がすでに出されているのです。

この診断基準によれば、もっとも重視されるのは腹囲(ウエストサイズ)で、小学生は75cm、中学生は80cm以上、または腹囲(cm)÷身長(cm)=0.5以上が、赤信号となります。

大人の場合は腹囲の基準は性別で違うのですが、子供の場合は大人と違って性別は関係なく、男女ともにこのサイズを基準として判断します。

ちなみに、大人・子供にかかわりなく、男女とも腹囲が82センチ程度になると血圧・血糖値・脂質のいずれかに数値の異常が出やすくなる傾向があり、予防的意味合いを込めこの腹囲に設定されたとのことです。

そしてこれらの腹囲基準に該当したうえでさらに、「血圧」「空腹時血糖」「中性脂肪とHDLコレステロール」の3項目のなかで以下の基準に2項目以上あてはまると、「小児メタボリック症候群」と診断されます。

たとえいま現在これらの「小児メタボリック症候群」基準に該当しない場合でも、これをひとつの物差しとして、子どもの生活習慣をチェックしてみるという使い方もできますね。

この数値基準の設定は、子供のメタボリック症候群がそれくらい多く、予防と対策が必要とされている事実を物語っています。しかし、いくらメタボ予防のためだからとは言え、子供に無理なダイエットをさせようとすることは、賢明ではありません。

発育途上・成長期にある子供の食事内容や量に制限を加えること自体が、問題を引き起こしかねないからです。

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バランスのとれた生活への誘導

かりに小児メタボリック症候群と診断された場合でも、病気という扱いにはなりませんし、通常は投薬などの治療も行われません。

成長期の子どもたちの健全な発育のためにも、ダイエットよりも、バランスの取れた食事をさせることや、スナック菓子やジャンクフードの摂取をやめさせることの方が重要でしょう。

食への関心が乏しい家庭では、調理の手間がかからない冷凍品やレトルト・コンビニ食などを選びがちです。これらは一般に炭水化物や脂質が多く高カロリーなため、子供の肥満を早めることになります。

まずは、子供の「現在の食生活を改善する」という意識で、始めたいものです。

たとえば朝食抜きではエネルギーの摂取と消費のリズムが崩れ、太りやすい体質になってしまいます。「一日3食」による正しいエネルギー摂取のリズムを、成長途上の子供の体にきちんと覚えさせる必要があります。

また、家の中でテレビゲームばかりするのはやめさせるように工夫して誘導し、起床・朝食・夕食・睡眠時刻などにおいて、規則正しい生活を心がけさせる必要があります。

ゲームをしながらの「ながら食い」をやめさせ、朝食・夕食は「食卓で一日の出来事を話し合う場」であることを、子供への教育として実践していく必要があります。

外で元気よく遊ばせて「適度な運動」によるカロリー消費を日々の生活に組み込み、全体としてバランスのとれた生活を続けさせることが、健全な身体の発育と両立する肥満予防のための、最短距離となることでしょう。




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